【4/19発売】クロウリングケイオスのレビュー【クトゥルフ神話ステージ】

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はい。というわけで、ダブルクロスクトゥルフ神話サプリメント「クロウリングケイオス」について解説していきたいと思います。


富士見書房公式の紹介ページ
https://fujimi-trpg-online.jp/column/dx3_crc.html


 



◆クロウリングケイオスの世界観

まず、既存のダブルクロス世界とは別の世界線のステージです。

クトゥルフ神話の世界観=コズミックホラー=宇宙は恐怖と狂気で出来ていて、人間は儚く孤独な存在に過ぎないという恐怖…がベースです。

その中でPCは、人間としての姿と意識を残しつつ、クトゥルフ神話のモンスター的存在として覚醒し異能を得た者となります。
そして、迫害されつつも人の世界を守る為に、恐怖と狂気の戦いに身を投じる事になります。

PC達は人からも神話生物からも疎まれる状況なので、ダブルクロス(裏切り者)としての立ち位置が基本ステージより濃厚に味わえるようになっています。

既存のダブルクロスに存在した、UGNやファルスハーツ等の組織もあるにはありますが、だいぶ様相が異なっています。

UGNはある事件をきっかけに邪神の手先というレッテルを張られてしまい超弱体化。
政府からは捨てゴマにできるテロリスト予備軍といった扱いを受けています。
UGNは情報源として以外は殆ど頼りに出来ないので、軍や警察や政治家関係をロイスにしておくと、何かと役に立つ事になると思います。

ファルスハーツは邪神復活を目論む真性狂信者テロリスト集団に成り下がりました。
ファルスハーツ所属PCとしてロマンを見いだすのはもう不可能です。
(GF誌掲載のDロイスを使えば、元ファルスハーツとしてパブリックエネミーのデータを使えるようになります)

PCからは《ワーディング》能力が失われており、異能の使用を軍や警察に見つかるとかなり厄介な事になってしまいます。
変身/移動/魅了/幻惑/隠匿系のイージーエフェクトの利用価値が高まりました。

クトゥルフ神話RPG(CoC)やその世界観に親しんでいて、超強い異能キャラで神話生物をボコりたい!という方には最適なステージだと思います。

基本ルールブックとこのクロウリングケイオスだけで遊べます。
一応既存サプリ各種の導入ガイドも掲載されていますが、私的には導入の必要性はあまり感じていません。


◆クロウリングケイオスの新要素

●恐怖判定と狂気

衝動判定の替わりに折に触れて「恐怖判定」を行います。いつも通り侵蝕率が2D上がると共に、判定に失敗すると暴走の代わりにROCチャートから恐怖の症状(バステやダイスペナルティ)を被る事になります。

バステ解除エフェクトでは対応出来ない効果もあります。

その場からの逃走が特にヤバいです。
新しいバッドステータス「恐怖」もあります。
判定ダイスが減る効果が多いので、支援キャラの必要性は高まったと言えます。

結果的に普通の衝動判定自体は殆ど行われなくなるので、暴走のバッドステータスを受ける頻度はかなり下がりました。
ドッジやリアクションエフェクトの《竜鱗》《復讐の刃》等は使いやすくなりますね。

判定には侵蝕率によるダイスボーナスが付かないので、精神や〈意志〉が低いキャラは結構しんどい事になります。
精神2と〈意志〉2LVは最低ラインとして確保しておくことをオススメします。
ダイス支援が出来るモルフェウスの《砂の加護》の利用価値が爆上がりしました。

侵蝕率80を越えてからは、「永続的狂気表」から恐怖の症状を得る事になります。
面白いことにこちらの効果は、ペナルティだけではない副次効果があったりします。
→極力敵に接近するようになるが、攻撃力が+[肉体]になるとか。

恐怖判定はシナリオ中5回ほどが目安とされています。その為シーン登場時の侵蝕率上昇は1固定になりました。シーンが増やし易くなりますね。

恐怖判定の難易度や上昇する侵蝕率ダイスは、GMの判断で変動させて良いので、例えばクライマックスにPC達の侵蝕率が低かった場合に、侵蝕率が4D上昇する事にするのもアリです。



●魔術

術式71種、魔導書35種。

魔導書を常備化し、経験点を使って取得する事になります。
コンストラクション作成でもエフェクト1枠分として1つだけ取得する事が可能となっています。
魔導書さえあれば〈知識:クトゥルフ〉を使って判定し、セッション中に覚える事もできます。
これにはイージーエフェクト《暗号解読》《帝王の時間》等が演出として役に立ちそうです。

非常に独特な判定ルールが追加されました。
(既存ユーザーからは戸惑いの声も聞かれました)

{精神+〈意志〉}÷2(切り上げ)が魔術ダイス。

ロールした合計がその術式の発動値に達していれば術は発動する。
侵蝕率やエフェクトの効果は適用されない。

0の出目は10と読み、振り足す。
0の出目が出たら暴走表をロールして効果を適用する。
0が多いと大暴走表→災厄表とヤバいチャートに送られる。

ロイスがタイタス化(オーヴァードでなければ死)したり、そこそこ強いエネミーに襲われたり、自爆(5D)したり、侵蝕率基本値が増加したりetc

結果はGM判断で選択して良いとはなっていますが、軽率に悲惨な結果を招き易く、非常に不安定でリスキーなものです。
魔術を使うなら、ロイスに一般人は指定しない方が良いでしょう。
爆発に巻き込む可能性もあるので、仲間とエンゲージした状態で使うのも危険です。

魔術は一部特殊な効果…人払いの結界/死者との対話/記憶の霧/ビヤーキー召喚/異次元への放逐…に見所はありますが、リスクに見合うものではありません。

PCが使う時は、送還・召喚・結界など魔術でしか対応できない場面でやむおえず使うという、シナリオギミックに、対応するシチュエーションになるでしょう。
PCの中に魔術ダイスの多い(精神と〈意志〉の高い)キャラが一人でもいると、シナリオ攻略がスムーズになると思います。

逆にエネミーやNPCに使わせる分には、効果や暴走も含めて最高に面白いギミックになるので、クロウリングケイオスならではの要素としてガンガン投入すると良いと思います。

ちなみにクトゥルフは、常備化12でネクロノミコンを手にいれて、経験点30で術式を取得し、発動値35を達成すれば呼び出す事ができます。







●Mエネミーとパーク

MエネミーのMはMythos(神話)
パークは特殊能力ほどの意味合いです。

エネミーデータが簡略化・固定値化され、かなり運用しやすくなりました。
能力の名称も読んで字のごとくなので分かりやすいです。
ホント大助かりです。

《範囲攻撃半減》や《射撃耐性》により、シーン攻撃や射撃攻撃の有効性が減り、〈白兵〉の汎用性が上がりました。

《非実体》:エフェクトによらない攻撃ほぼ無効(ショゴス)。
《非物質》:侵蝕率100オーバーかアザトースエフェクト以外はほぼ無効(炎の精)。
…があるので、UGN以外はほぼ対抗出来ないエネミーも何種類か存在している事になります。

めちゃくちゃ強い神格クラスのクリーチャーもしっかりデータ化されています。
ファルスハーツや軍の運用するジャーム兵器などロマン溢れるエネミーもいます。

明らかな雑魚エネミー以外はわりと頑丈なデータになっています。
運が良ければ一撃で落とせますが、普通は二撃、ダイス目が渋ると三撃必要な感じです。
クライマックス戦よりも、ミドル戦闘に備えたキャラビルドが推奨されます。
《コンセントレイト》は3LV所持がテッパンです。
兵器類は二桁装甲が当たり前なので、キャンペーンで遊ぶ際のサバイバビリティを考えるなら、装甲無視もほぼ必携です。

エネミーリストを見ると装甲無視をしてくるエネミーはあまりいません。
シナリオの傾向的にも、神話生物との対戦が増えるので、エフェクトを駆使するオーヴァードとの対戦は基本ステージより少なくなると思われます。
結果として防具や装甲ガードエフェクトの利用価値、PCのガードキャラは存在感が高まったと言えます。

ガードを使うエネミーはあまりいないのですが、エネミーパークで15・20・30と雑に数値を積んで来ます。
キャンペーンで遊ぶ際のメインアタッカーはガード無視を持っていた方が良いでしょう。
基本ルールブック準拠なら、《光速の剣/エンジェルハイロゥ》《貫きの腕/エグザイル》も使いやすいです。

バッドステータスを打ち消してくるエネミーも殆どいません(一部の神格クラスのみ)。バッドステータス攻撃の有効度(特に邪毒や白兵キャラへの硬直)は上がりました。

Mエネミーは基本的にオートアクションエフェクトを使わないので、バッドステータス重圧や打ち消しエフェクト《デビルストリング/エグザイル》の有用性は下がりました。






●追加ルール色々

ホラーシステムとしてのスムーズなセッションを実現するために、色々追加されました。


▼逃亡シーン
回避判定に成功するとシーンから脱出できる。

移動力に優れる感覚アタッカーは、システムバランス上、〈回避〉判定か苦手なため、ホントは足の速いキャラが逃げ遅れやすい状況が生まれるルールです。

自分的には、感覚〈知覚〉判定でも逃亡判定をやらせてあげたいと思います。



▼探索イベント
ダンジョン探索。
[ロケーション]を個別のシーンとして扱う。
探索が長引く程に登場侵蝕率コストが上がってゆく。

技能判定で進めるので、こちらでもモルフェウスの《砂の加護》によるダイス支援が重宝されます。
力仕事の判定が能力値の肉体だけではなく、〈白兵〉技能で行える事が示唆されています。
今まで素の肉体判定をクリティカルさせる事が出来なかったキュマイラが《獣の力》でそれを行える様になりました。



▼不意打ち
探索イベント中などに"何らかの理由"で発生。
不意を打たれた方は行動済みとなり、リアクションにもペナルティが入る。

運用が曖昧なので〈知覚〉対決させたりした方がフェアでしょうね。



▼見通しの悪い空間
最大射程が10mに。
シーン攻撃《サイレンの魔女》が弱体化しますね。他にも逃げ射ちや長距離スナイプも難しくなります。
強制移動と硬直で射撃キャラを封殺できる可能性もあります。



▼ラピッドブレイク
侵蝕を2D上げて、ピンチシーンを突破した事にしてしまう。



▼絶望第二幕
手詰まりになっても、とりあえず先にシーンを進めてしまい、その理由をチャートから引っ張る。



▼詳細なマスタリングガイド
ホラー描写のコツや、ホラー探索にありがちな困プレイヤーへの対処法など。
金言踊る必見の内容です。
CoC勢からも評価の声が上がっていました。




●アザトースシンドローム

邪神のチカラをかなりの斬新さで表現しています。ほとんどがエネミーエフェクトのイメージです。

傾向としては、精神3、〈白兵〉と〈RC〉、装甲ガード無視出来ず、範囲選択化できず、ガードエフェクト無し、ダメージブースト大得意、ダイスブースト大大得意…といった具合です。

基本ルールレギュレーションと比較すると、かなり強いデータ群と言えます。

効果係数が高い上に、最大レベルも高めのエフェクトが多いので、トライブリードでも活用しやすいシンドロームです。
他のシンドロームなら侵蝕率80%制限がありそうなエフェクトも、侵蝕率制限無しで存在しています。
クロウリングケイオスをお持ちの方は、《此処より永遠に》×《冒涜的存在》、《超次元存在》×《フェインデス》辺りのコンボをチェックしてみて下さい。強いです。

…強い効果もあるのですが、オーヴァードにはほぼ効かなかったり、神話存在にしか効かなかったり、自分もバステを受けたり、バステを受けているほど強くなったり、起点エフェクトはわりとショボかったりetcで、単品で役に立つエフェクトはあまり無く、一筋縄では使いこなせないシンドロームです。

どうみてもPCが使わないエフェクトも散見されます(悪夢を見せて対象の侵蝕率を上げるとか、存在を剥奪するとか)。

ラウンド一回の強化ドッジエフェクトや、効果発動がランダムなダメージ0化エフェクト等があり、エネミーに使わせて戦闘を盛り上げて欲しいという意図が読み取れます。

イージーエフェクトは、記憶改ざん/状況隠蔽/恐怖沈静/怪奇現象発生/星間飛行!…等々、便利で面白いものがそろっています。




ゲーマーズフィールド 25th Vol.4

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クロウリングケイオス発売直後の号です。
クロウリングケイオスの、売れ行きに引っ張られて品薄になりました。雑誌扱いなので増刷はされないのですが、電子化はされる模様です。
全ページ数の殆ど半分を占拠する勢いで、リプレイ、シナリオ、追加Dロイスが掲載されました。






◆オススメ参考サイト

↓紹介して頂いた書籍





◆色々な不満の声

クロウリングケイオスは、発売直後から批判の嵐にさらされました。

批判の多くは実際のセッションを経る前段階の、データマニアな人々から上げられているのが特徴的です。"遊んでみたけどダメだった"という批判はありません。
「いわゆる食わず嫌い」の人たちです。実際遊んでない人の批判を真に受けるのは、リテラシーヤバいですよね。
また批判の主達は、コズミックホラーとしてのCoC系セッションへの参加経験が浅い(or無い)ような印象も受けました。

こちらのアンケートも参考になります。
悪し様な批判の声を揚げているのは、ユーザー全体から見ても一部のマニアだけだというのがわかります。

↓批判の要旨をまとめてみました。

●「オーヴァードが下げられた」
コズミックホラーの世界観なので、PC達がグレートオールドワンやアウターゴッドには勝てるはずもありません(太陽にケンカ売るようなものですから)、怖くなければホラーじゃないのです。それを知って落胆(not for me)してる既存のダブルクロスユーザーも見受けられました。
異能アクションで派手にキメるのが楽しかったユーザーが、遥か格上の神話存在相手に苦闘を強いられる展開に付いて行けなくなるのも分かる気はします。
文章表現が高圧的に感じるので気に食わないという、センシティブな意見もありました。


●「データが使えない」
魔術がハイリスクだったり、呼び出された神格の振る舞いがGM判断だったりと、システマチックな運用が出来ないという部分に、不満の声を上げている人がいました。

不確定要素がつきまとう危うさや、人の手には負えない驚異にこそクトゥルフホラーの魅力があるのですが、そこが理解出来ない向きにはNot for me になっても無理も無い反応だと感じます。

掲載されているデータは全て、プレイヤーにとってもゲームマスターにとっても「コズミックホラーTRPGのセッションを楽しくエキサイティングにする為のもの」なのですが、この視点(&信頼できるプレイグループ)が欠けていても運用は難しく見えるのかもしれません。



●「通常ステージで使えるデータがない」
通常ステージに流用可能なデータが掲載されていないので、そこに不満の声を上げる既存ユーザーも見受けられました。
確かに自分もバッドシティやレネゲイドウォーはデータ目当てで購入したクチなので、わからなくもありません。
製作者サイドには今後のサプリ開発に生かして欲しい教訓です。
個人的には、今後ホームセンター系の武器やチェーンソーのバリエーションが増えると嬉しいです。
 

●実際遊んだ方の雑感はおおむね↓な感じです。

私見ですがツイッターを眺めた感じだと、ルール勘の無い初心者や、Eロイスボーナスでバックトラックする事に慣れた経験者が、バックトラックに失敗したという報告が、以前よりも増加した様に感じます。



◆誤植について

誤植の多さも話題になりました。
私の調べでも、特にシートやサマリー関係がひどい感じです。

詳しくはこちら
caunserahomare.hatenablog.com

2021/5/25に、ある程度まとまった量の公式エラッタが出ました。
http://www.fear.co.jp/dbx3rd/support/edc3_210526.txt
まだ完全ではない感じなので、追加もありそうです。
2021年6月初旬に出た二刷は、このエラッタが適用されています。
一刷は発売後一週間で市場から消えたので、今から買う人は普通に二刷版が手に入ると思います。

ひどいとは言え、サンプルキャラクターシート周りを修正し、レコードシート(背表紙)とサマリー(p184)を使わない様にすれば、さほどの問題はありません。
殆どのミスはマニアじゃないと気が付かないようなもの、運用にさして支障の無いものばかりです。

サンプルキャラに関しては基本ルールブックのものも使えるので(むしろこちらの方がオススメ)、あまり難しく考えなくても良いですね。

他だとp140のエネミーパーク《範囲攻撃半減》をマイナーアクションではなく常時効果にするくらいでしょうか。

「誤植だらけでまともに読めない」なんてツイートも見ましたが、これはさすがに風評被害ですね。



◆発売前から発売後のアレコレ

連日Twitterで追ってまとめたものです。ユーザーの賛否両論の声や、クリエイター達のコメントが分かります。

↓大まかな流れ
発売前のあれこれ
発売遅延後の発売日決定アナウンス
ライター陣のプレリリースアナウンス
フラゲネタバレサイト事件
遂に発売!
アザトースシンドロームがヤバ面白い
東京のホビーショップでも入荷遅れ
Amazon遅配&在庫切れ
エラッタ&誤植&記述揺れ多数発覚
聖徳太子は誤植か否か
データマニア達が炎上
Amazonレビューに酷評複数投下される
追加サプリメント決定!
さらに重版決定!売れてます。
少しの公式エラッタとシナリオ出た。早い。
CoC勢からはホラーセッションガイダンス・クトゥルフ資料としても秀逸との声
ゲーマーズフィールドにリプレイとシナリオとDロイス六種類掲載、こちらも異例の品薄に。
早速Vtuber勢も動きアリ
続々と賛否の声が上がる
実プレイ勢からは好評の声
データ検証もじわじわ進行
公式エラッタ出たけどこれは不充分では?
ニャラルトホテプじゃないんかいwww


 

◆購入案内

税込4180円
急がない方は、エラッタが適用されたであろう二版を待つのもアリだと思います。

現在新品で手に入るものは、第二次エラッタ(ニャルラトホテプに修正)が適用されたものです。が、要修正箇所はまだ見受けられます。

2021/7/20に電子書籍も出ますね。BOOK☆WALKERエラッタが自動反映されるのでこちらもオススメです。




↑のサプリメントと基本ルールブック1と2があればセッション可能です。